議会に詐欺師がワンサカじゃあこの国は亡びる。
        小説家司馬遼太郎さんが亡くなる前に奥さんに
        口癖のように言っていたことば、
        「このままではこの国は滅びる。この国に生まれ、
        この国に育ってよかったと思える国に、そして世界
        に尊敬される国にしよう。
        ひとりひとりの国民の小さな行動が国を変えるのです。
 と、裁判を通して痛感しております。平成20年12月24日


 愛知県議会議員選挙用ポスター公営費返還請求事件

 平成20年(行ウ)第37号
 原告  寺本 泰之
 被告  愛知県知事   神田 真秋

意見陳述書

 名古屋地方裁判所 御中
                                                       
                                                平成20年12月17日                                                       
                                 原告   寺本 泰之

 

 私は豊橋市の市会議員です。選挙用ポスター公営制度について訴えます。

選挙用ポスター代金に支払われている金は「公金」です。そしてこの公金は選挙用ポスター作成費のみに支払われる、と法律で定められているのです。大事なことは、選挙用公営費は「補助金」か「交付金」というようなことではなく、いずれにしても「公金」だ、ということです。このことをまず認識すべきです。公金である以上、法律の定め以外に使われることは許されることはないし、その使途について説明責任は伴います。この認識を愛知県職員は持っているのでしょうか。本件選挙において、住民の負託を受けて議会人になろうとする立候補者はもっていたのでしょうか。回答は明らかに「ノー」です。いま新聞紙上を賑わせている「愛知県裏金問題」は底なし沼のように裏金の出尽くすことがない。当たり前だ。本件に見るように「公金」に対する認識の欠如をもってすれば、議会のチェック機能はないに等しい。愛知県職員の不正に対する感覚も鈍くなるのは当然です。

法律を制定する権限を持つ議員が、その議員となる入り口で不正に公金請求する。住民から預かった公金を執行機関は、その請求が市場価格より異常に高額であったとしても疑うこともなく漫然と支払う。この議会と行政の癒着の構図は、既にこの制度が運用された平成7年から行われています。平成11年の「選挙時報」第48巻第9号(全国市区選挙管理員会連合会編)の15ページに「任意制選挙公営制度及び記号式投票制度に関する調査結果の概要」(参考資料1)として衆議院第2特別調査会がおこなったポスター作成のアンケート結果が掲載されております。そこには次のように書かれています。

「『限度額にあわせた請求が多い』、『限度額いっぱいで申請ないし契約しているケースがほとんどを占め、書類上での不備はないものの、経費の実態かどうか疑問がある』等、請求額の適正さを疑うケースがあることを指摘する回答も多かった。中には、印刷業者の不当な利益を暗に指摘する回答もあった。」と。

ところが誰もこの構図を正すことが出来ないのが今の日本です。いまこの愛知を初めとして日本は、いたるところで「法の遵守」という法治国家の根幹を腐らせ、いまや悪臭を放ちあらゆる行政機関を汚染していると、私は認識しております。

愛知県は、原告が昨年提出したポスター作成明細書の添付を義務付けるよう求めた要望に対して、平成19年8月10日付けで「必要書類の内容に特段の疑念を抱かしめる記載がない以上、特にその真偽や相当性について調査することなく、定められた限度額内でポスター代金を支払うことを許容している」と回答しています(参考資料2)。果たして本件は『特段の疑念を抱かしめることはない』記載であったのであろうか。

被告は、甲第15号証のテープの真否を問題にしております。このテープは平成12年(行ウ)第27号違法公金支出金返還請求事件の裁判で証拠として認められております。まずは、テープにあるような事実が当時あったということを認めるべきです。こんな事実があったにもかかわらず、愛知県職員は疑念を持つこともしなかったのです。当然調査をもしない。市場と著しくかけ離れた高額なポスター作成費を、易々と愛知県職員は支払い続けたのです。漫然と支払っても問題にはならない慣習が庁内には出来上がっているのです。昨年来よりどれだけ選挙公営費の不正請求が社会問題になっているかを愛知県は知っているはずです。マスコミに連日のように公営費の水増し請求が取り上げられていたのであるから、満額のポスター作成公費請求には問題があることに疑念を持つべきだったのです。公費負担されない前はどのくらいで選挙用ポスターが作成されていたかは知っていたはずです。私は公営制度を制定していない小坂井町のポスター作成費の実態を示しました。市場価格はいくらぐらいかも示しました。私が3回の選挙で作ったポスター1000枚分の16万円の業者見積書も提出しました。その上で調査してほしいと3回監査請求をしたのです。これだけの資料を示し、ポスター作成費を調べてほしいと求めたのですから、少なくともその説明を愛知県はするべきです。説明責任を果たすべきです。不正な使途がされていないなら堂々と説明されればいい。選管、監査委員の当然の職務を果たすべきだし、候補者も、自ら説明すべきです。

にもかかわらず、にもかかわらず愛知県は全く調べることなく、監査委員も逆に愛知県や候補者の防波堤となり、甲第12号証「愛知県監査委員検討会議録」が示すように住民の請求に対して当初から調査する姿勢がない。門前払いです。

豊橋市では選挙ポスター作成費公費負担を請求するに当たり平成15年度の豊橋市議選より材料費、印刷費、用紙代を明記した作成明細書を添付するようにしています。その結果平成19年度の豊橋市議会選挙では平成11年度より選挙ポスター請求額が500万円減りました。制度の内容如何によって不正を防ぐことはできます。しかし、今の愛知県に内部から浄化する機能は、監査委員の実態からしても、働いていません。    

私は昨年の11月にも同じように選挙公営費の不正請求を返還するように、この場に立ち裁判長に訴えました。不正が司法によって正され、公明正大な行政が行なわれるようになるまで何度でも訴え続けるつもりです。市民、国民の代表者となる議員として選ばれる選挙の第1歩から候補者が公金を不正請求するようではこの国は亡びると思うからです。

参考資料1:「選挙時報」第48巻第9号の一部写し

    2:愛知県回答(平成19年8月10日付)の写し    トップページにもどる