名古屋地方検察庁 様

                                                   告 発 状
                                                            平成20年11月4日

告発人 

                                                          愛知県豊橋市賀茂町字石城寺4番地の6

    豊橋市議会議員          寺本 泰之

  被告発人 

        証拠資料1にある名古屋市職員413

         但し氏名不詳

告発の趣旨

被告発人413人は名古屋市の臨時的任用職員の賃金の水増し・架空請求、事実とは異なる「出金簿」や「見積もり書」を作成するなど組織的に公金を出金、流用しております。この行為は虚偽公文書作成罪(刑法156条)及び同行使罪(同158条)、私文書偽造罪(刑法1591項)及び同行使罪(同161条)、詐欺罪(刑法2461項)にあたるので被告発人の413の処罰を求めるため告発します。罪状については「不適正な会計処理による現金等に係る報告書」(証拠資料2)の14ページから16ページに述べてあります。

 

 

告発の事実

1、証拠資料1にあげる被告発人413人は名古屋市職員です。

 

2、証拠資料1にある被告発人の名前は黒塗りされており、413人の名前を知ることができません。告発人は名古屋市の情報公開条例に則り開示請求した結果、そのような黒塗りの公文書が開示されたので知ることができないのです。このように告発人は名古屋市当局に尋ねたり情報公開条例に則り開示請求したり、と出来得る手段を講じて名前の判明を求めましたが知ることはできませんでした。名前は検察庁を通して判明していただくようにお願いいたします。

3、名古屋市は匿名の通報により本件の不適正な会計処理による裏金作りの現金等が判明しました。その結果名古屋市では「不適正な会計処理に係る外部監査調査委員会」(以下、「外部調査委員会」という)を設置、平成20226日に当該委員会は「不適正な会計処理による現金等に係る報告書」(証拠資料2)を発表しました。その報告書によれば不適正であるから返還すべきである額を181,453,888円としています。そして罪状については「不適正な会計処理による現金等に係る報告書」(証拠資料2)の14ページから16ページで明らかにしています。この金は詐取等により違法に手に入れた金であるから返還すればそれで「是」とされるものではありません。

その罪を償うのが社会のルールです。

 ところが、名古屋市は今年8月、返還額である181,453,888円が返還されたのでこれ以上の追及を辞めて、この裏金問題を終息させようとしています。官の犯罪を組織的に隠蔽し、守ろうとするこの行為は看過できません。「泥棒をしても返せばいい」というようなことがこの法治国家日本でまかり通っていいはずがありません。

 本来名古屋住民が、この不正に対して怒りの声を挙げるべきところ、2ヶ月を経た今日に至っても、名古屋住民の誰も怒りの声を挙げる気配もないので知行合一の精神を持って、愛知県の腐敗の温床を無くすために告発します。

4、証拠資料217ページ2行目で「イ、刑事責任の追及は、特定の実行行為者(共犯も含む)を対象とするものであるが、前述のように本件各現金等の捻出・支払い行為は、長期にわたり(始期を特定できるものではなく、当該方法を考案した職員の特定も不可能である)、システマティックに行なわれており、今回の調査において特定された担当者についてのみ刑事告発を追及することは公平に欠け、適切でないとも思われる」として刑事告発をする必要性はない、と外部調査委員会は述べています。それはおかしい。例えば速度違反、駐車違反では現行で特定できたものを検挙しているではないか。

     役人の長年にわたる組織的集団犯罪には法の裁きは及ばないということなのか!

「犯罪行為が長期で、泥棒をした人間が多く特定するのが困難だから違法行為を咎めることはできない」という論理をこの法治国家を名乗る日本の社会で通すことができるのでしょうか。これが通ればまるで私たちの暮らす町は無法地帯で、集団犯罪が横行するでしょう。住民は安心して暮らすことができません。また公務員については、「官吏又は公吏がその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発しなければならない」と規定されており、告発が義務付けられています(刑事訴訟法239条2項)。それなのに組織的に犯罪を隠し続けた行為は断じて許してはなりません。

5、裏金問題は、14年も前に全国あちこちの自治体で発覚し大きな社会問題となっておりました。その間名古屋市では、相変わらず裏金作りが行なわれてきたのです。本来ならば、その裏金作りの手口などを参考にして調査すべきなのに、名古屋市は調査もせず裏金はないとしてきました。そして再三の内部告発でようやく今回調査に入ったという経緯です。名古屋市議会平成18年9月定例会(平成18年9月22日:証拠資料3)において 西尾たか子議員の質問に、松原名古屋市長と監査委員は「名古屋市において裏金に当たる不適切な事例はない」と答弁(傍線部分)しております。そしてのりたけ勅仁議員の質問には松原市長は、「名古屋市職員の倫理の保持に関する条例』があっても懲戒処分が46件もあったことを遺憾としながらも、市職員の指導の正しさを高らかに自慢するありさまです(傍線部分)。

 調べようともしない首長の下で、不正は根強くはびこり犯罪の温床が培養されております。名古屋市役所の自浄能力を高め、今後このような市民の信頼を裏切るような組織的集団犯罪が二度と起きないように一罰百戒を求めざるを得ません。

検察庁の厳正なる処罰を求めてここに告発します。

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