愛知県議会議員選挙用ポスター公営費返還請求事件

平成20年(行ウ)第37号

原告  寺本 泰之

被告  愛知県知事   神田 真秋

意見陳述書

名古屋地方裁判所 御中

平成21年5月13日

     原告  寺本  泰之

 

 原告の寺本泰之です。豊橋市の市会議員です。私は甲第21号証の2で服部鉦臣候補用のポスター作成を行なった(株)サンコーさんの売上伝票の写しを本年212日に提出しました。自分が不正請求したと訴えられている状況下で、そして今後も印刷業界で仕事を続けていかれるなかで、証言してくださり売上伝票の写しまで提供してくださった、サンコー代表取締役の長岩永衛氏の勇気と正義感に深く感謝しております。正直に生きる県民の姿を長岩社長は示してくださいました。長岩社長は、世の中を正すためにこの行為に出てくださいました。

ところが、今回の被告の第4準備書面によれば、愛知県は、サンコーが公費負担とし受け取った公金を服部候補から返させたからいいだろう、ということで事を済ませようとしています。全く不正を正す姿勢がない。盗んだ金は返せばいいというようなことが法治国家であるこの国で通用するのですか?大人として子どもたちに恥ずかしくないのですか?ましてや県民の財産と安全な暮らしを守ることを職務とする愛知県職員に、このようなことが許されるのでしょうか?私は、相変わらず身内の犯罪を組織的に隠蔽し、守ろうとする愛知県の体質を断じて許すことはできません。

ご存知の通り、愛知県は昨年(2008年)、149千万円の裏金の存在が発覚しました。

これも庁内の調査によるものではなく会計検査院の検査によるものでした。全国で裏金問題が発覚し、マスコミに取り上げられ騒がれていた平成13年から、わが県にはありませんと言明しながら、その裏でズーッと行なわれていたのです。

民間会社の社員が、会社のお金をごまかして、納入業者の口座に何百万円も勝手に振込み、あとから自分の仕事にほしいものを持ってこさせる、なんてことをしたことがばれたら、即刻その社員は解雇です。取引業者の口座に先に振り込んで、あとから注文するような行為が14億9000万円もの公金をめぐって行なわれていたなんて言語道断です。ところが、おかしい、間違っている、と県職員の誰一人として声を挙げなかった。県民(納税者)からしてみれば「不適正な経理処理」は「公文書偽造」と、また長年にわたって行なわれてきた一連の県職員の公金不正流用は犯罪だと認識しております。しかし、愛知県は、犯罪とは捉えずに「会計処理の問題」としか捉えていない。公務員の、公金に対する意識がきわめて低い。被告の愛知県知事はこの事実に「情けない」と述べたようですが、損害を被ってきた愛知県民はたまらんです。これでは不正をチェックする機関が愛知県にはないのと同じです。

 

サンコーと服部候補両者の意見に食い違いがあるというなら、両者を証人として呼び、この法廷で事実を明らかにしていただかなければなりません。服部候補一人が返金して損失がなくなったからこれでよし、なんて事が通ってはいかんのです。伊勢清株式会社の水谷隆夫社長の陳述内容も、私への対応とは異なります。この件も今後事実を明らかにしなければならないと考えております。

愛知県は「これまで調査権はない」ことを理由に、私が行なった3回の監査請求を門前払いして来ました。私は愛知県に、公営制度を制定していない小坂井町のポスター作成費の実態を提出しました。市場価格はいくらぐらいかも示しました。私が3回の選挙で作ったポスター1000枚分の16万円の業者見積書も提出しました。その上で1000100万円の作成費請求は水増し請求だから調査してほしいと3回監査請求をしたのです。にもかかわらず愛知県は全く調べることなく、監査委員も逆に愛知県や候補者の防波堤となり、甲第12号証「愛知県監査委員検討会議録」が示すように住民の請求に対して当初から調査する姿勢を持たず、門前払いでした。しかし、服部候補にしたような聞き取り調査はできることがわかりました。この程度の聞き取り調査で、選挙公営制度に関する不正は格段に抑えられたと思います。

 

市民、国民の代表者となる議員として選ばれる選挙の第1歩から候補者が公金を不正請求するようでは公明正大な議会運営はできんのです。私は、この制度はこの国をだめにする、と痛感しております。この制度を変えるまで闘うつもりです。

ぜひ私が訴える、選挙公営制度の問題にご理解を裁判官には賜りたい。

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