2005.10月5日東愛知新聞に掲載

                 国民運動にしなくては拉致被害者は救えない
           拉致問題が解決されるまで胸にブルーリボンを
 豊橋の草の根ブルーリボン運動
                                          草の根ブルーリボンの会・豊橋 寺本 ひろゆき
         

 919日の敬老の日、静岡市では横田滋、早紀江夫妻を招いて「拉致被害者を救うブルーリボンの会・静岡」発足記念講演会が開催された。午後1時半会場にもかかわらず午後1時を前にしてすでに会場前に列ができた。420席の会場は満席、場内をぐるりと囲むように立ち並ぶ人たちから、演壇前に座りこむ人たちと聴衆であふれた。会場に入れずに帰っていただいた方が200人ということでその日、拉致問題に足を運んだ人が700人を数えた。拉致被害者家族は28年の永きにわたってその解決を求め、訴え国民的運動へと展開してきた。その日早紀江さんは、めぐみさんがいなくなった日のことを語った。「わが家から50メートル先の角までめぐみは帰ってきていたことが警察犬によってわかったこと、焼却炉から女性の焼死体が出たといわれては、めぐみの歯形をもって恐怖と悲しみで、体全身を震わせて確認に出かけたこと」などを時折涙を浮かべて語った。あちこちで嗚咽が聞こえた。声を上げて泣くものも少なくなかった。その会場にいる人々は、そのとき横田夫妻の悲しみを人間として共有した。「拉致」=テロという国家的犯罪を金正日が認めたいま、私たちは彼らの悲しみを共有するだけではなく、人間としてテロを憎み一刻も早く拉致被害者を救出するように行動を起こすべきであろう。何をすべきか?それはまず拉致問題に関心を持つことである。マザー・テレサは言った。「愛」の反対は「無関心」である。無関心であってはならない。草の根ブルーリボン運動の原点はここにある。
 豊橋では今年5月「草の根ブルーリボンの会・豊橋」を発足した。828日には蒲郡出身で現在東京大学名誉教授、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」名誉共同代表である小川晴久教授を、同窓生らのご協力を得て、招き講演会「北朝鮮の人権問題と世界の関心―強制収容所を中心としてー」を開いた。北朝鮮のひどい人権侵害・人権抑圧の実態を「山の中の強制収容所」を例に講演された。そしてこの地獄のような強制収容所を廃絶するにはまず収容所体験者の手記を読むことである。知ったら廃絶を叫ぼう、まず北朝鮮国民の人権を取り戻すことが、ひいては拉致問題解決の糸口になる、と説いた。同感である。私たちの運動は日本と北朝鮮両国民の人権を取り戻すところに軸足を置いた運動でありたい。それには一刻も早く金正日体制下から国民を解放することが先決であり、そのためには経済制裁が有効であると考える。経済支援は金正日政権を支えるだけであって、なんら国民を支えることにはならないことは誰が見ても明らかである。政府に決断を求める。
 拉致問題解決には、国民の関心が薄れることがいちばん懸念される。家族や母国との一切の接触を絶たれてしまった被害者の、いまやたった一つの繋がりは両国をつなぐ海と空だけである。ブルーリボンはその空と海の青さを表している。だからブルーリボンを胸からはずすことはできない。ぜひあなたも胸にブルーリボンを。私たちは決して拉致問題を忘れていません、という意思表示なのだ。横田めぐみさんは死んではいない。彼女をはじめとして多くの拉致被害者は助けを待っている。
 「草の根ブルーリボンの会・豊橋」では108日(日)豊橋市民文化会館(向山)で「北朝鮮(金正日軍事独裁政権下)をめぐる“もう1つの人権”」と題して安本左久子(チェ・サンブン)さん(帰国者・家族を助ける愛知の会)を招いて北朝鮮へ帰った姉を日本にいる母に会わせたい、という運動の経緯を聞く会を開く。また124日(日)には※「極秘指令―金賢姫拘束の真相」の著者砂川昌順さんを招いて「極秘指令から見る日本」をテーマに講演会と討論会を開く。(両方とも開演時間は午後130〜、参加費は資料代として300円)いずれも現実を知ることで、拉致解決を国民の問題としていこうとすることが目的である。一人でも多くの方々の参加を待っている。

※横田めぐみさんのご両親 横田夫妻を迎えて開催することに! 会場は駅前文化ホール(開発ビル10F)に変更



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