平成24年度植田小学校北校舎大規模改造等に伴う電気工事(12社入札:豊橋市ホームページより)
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総合評価落札で証明された、最低制限価格制度のデタラメ。総合評価とは、価格だけではなく技術、
ノウハウを評価してその評価値の高い業者が落札になる入札制度です。その一番高い評価値の愛豊電気
から6番までが失格。評価値も低く価格も高い7番業者が落札している。
商号又は名称 |
入札価格(単位:円) |
評価値 |
順位 |
結果 |
(株)影山電気商会 |
24,785,000 |
4.46641 |
2 |
失格 |
愛豊電気(株) |
24,823,000 |
4.58445 |
1 |
失格 |
マツイ電気(株) |
25,650,000 |
4.39766 |
4 |
失格 |
(有)栄和電工 |
25,655,000 |
4.30715 |
5 |
失格 |
豊立電設(株) |
25,696,815 |
4.44413 |
3 |
失格 |
平中電気(株) |
26,100,000 |
4.25287 |
6 |
失格 |
(株)三立 |
29,200,000 |
3.85616 |
7 |
落札 |
植田小学校電気工事公金支出差止住民訴訟事件 訴 状 名古屋地方裁判所 御中 平成24年12月20日 原告 寺 本 泰 之 被告
請求の趣旨 1、 被告は、平成24年8月7日に(株)三立と契約「植田小学校北校舎大規模改造等に伴う電気工事(以下「本件工事」という」」に基づく公金の支出を行なってはならない。 2、 上記契約が無効であることを確認する。 3、 訴訟費用は被告らの負担とする。 との判決を求める。 請求の原因 第1 当事者について 1、原告は、愛知県豊橋市に居住する住民である。 表(1)
(表2)
第3、本件工事入札の違法性について 第6 結論
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トップページへ 平成25年4月1日提出 準備書面(1)
事件番号 平成24年(行ウ)第144号 公金支出差止請求住民訴訟事件 原告 寺本泰之 被告 豊橋市長 佐原光一 準備書面(1) 平成25年4月1日 原告 寺本 泰之
第1、答弁書への反論 1、本案前の答弁に対する反論 請求の趣旨第2項について 原告は、本件で「植田小学校北校舎の電気工事に関する契約」を通して総合評価落札方式にある「失格判断基準」を設け当該金額を下回った入札業者を、契約の履行の可否を調査することなくダンピングだと決め付け、一律失格とする制度の無効を訴えるものである。国はこれまでにいくつもの通達で、地方自治体に総合評価落札方式導入を拡大するよう強く勧めている。同時に総合評価落札方式にはダンピング防止対策及び当該工事の不履行のおそれを回避する目的で「失格判断基準」の設置を勧めている。豊橋市も、国の要請で総合評価落札方式の導入と前記目的で「失格判断基準」を導入した。原告が問題とするのは、失格判断基準の価格以下で入札した業者をダンピングや契約不履行業者として一律排除することを認めていることだ。 国土交通省国土技術政策総合研究所の「総合評価落札方式 技術とノウハウを活かした公共工事をめざして(甲第9号証)」によれば 業者の企業努力を評価せず、安易な失格判断基準を設定して入札業者を失格にする制度は、業界の競争による向上心を失わせ日本に多大な損失を与える。また不当に高い税金を投入することにもなり国民の負担を不当に重くする制度である。本件は単なる豊橋市の学校工事の契約に留まらない。貿易立国として安価で高品質のものづくりを目指す日本の国力、国益を損なう「百害あって一利なし」の制度である。即刻この制度のもとで契約された本件契約の無効を求める。 公共工事は「会計法」または「地方自治法」に基づいて調達される。これが大前提にある。第6回入札契約の適正化に関する検討委員会で配布された資料6(甲第10号証)のなかにある低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の概要(資料6の3ページ目)には 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」第3条 公共工事の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。 一 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。 二 入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。 と定められている。豊橋市が行う総合評価落札方式にある「失格判断基準」の制度は、業者から入札価格の詳細がわかる工事内訳の種目、科目、細目別の内訳書も提出させず(甲第11号証−1、同―2)、契約履行の可否調査もせずに失格とすることから内容の透明性の確保、公正な競争の促進を著しく阻害する。 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の趣旨から逸脱しており、そもそも公契約には無効な制度である。 以上より会計法第29条の6、地方自治法施行令167条の10、地方財政法第4条第1項、地方自治法第2条14項に違反した契約だとして、地方自治法第242条の2第1項第1号に基づき本件工事への支出差止を求め、また同項第2号に基づき本件工事の無効を求めるものである。 第2 本案の答弁に対する反論 原告は、本件前置の監査請求(甲第12号証)において「豊橋市の行なっている総合評価落札方式は低入札価格調査制度」のもとに行なわれている(甲第1号証、甲第2号証)のに、落札業者の評価値より高い評価値を得た6社を、契約履行の可否を調査せず一律に失格していることを違法だ。」と主張した。 「低入札価格調査制度を違法だ」と主張したのではない。「低入札価格調査制度を順守していないことが、地方自治法第2条14項に定める「最少の経費で最大の効果」及び地方財政法第4条第1項に定める「その目的を達成するための必要且つ最少の限度」に反すると主張した。 1、答弁書第2、(2)について @ アについて 豊橋市契約検査課ホームページの入札結果には開札は平成24年7月30日になっている。原告には、いずれが正しいかは判断できない。 また、正しくは被告の指摘されるとおり株式会社影山電「機」商会です。これについては原告の誤りなので訂正します。 A イについて 失格判断基準を下回る価格で入札した業者を一律失格として、評価値も算出する必要もない、とする処分は明らかに「低入札価格調査制度」及び総合評価落札方式の趣旨を逸脱したものであり、会計法第29条の6、地方自治法第234条及び地方自治法施行令第167条の10に違反している。 B ウについて 前記の通りそもそも監査委員は、監査請求人の請求内容を誤って捉えている。また豊橋市が定める「豊橋市監査基準」(甲第15号証)第2条、第5条(1)(2)、第9条、第10条、第21条、第23条を順守しない監査であった。監査委員の判断は根本的に失当している。
C エ、オについて 総合評価落札方式は評価得点と価格から評価値を出すのを原則とする。したがって評価値は算出しなければならない。そのうえで低入札価格調査制度を基本とする総合評価落札方式であるならば、低入札した業者は、契約の履行ができるか否かを調査したうえで落札者を決めるべきである。 D カについて 豊橋市の総合評価落札方式の入札は次の理由で不透明である。 本件工事入札にあたり工事内訳だけでなく、工事価格の4分の3以上を占める直接工事費の価格の入った種目別内訳、科目別内訳、中科目別内訳、細目別内訳書を提出させて価格調査をしなければダンピング価格かどうかの判断はできない。 ところが被告は本件入札において種目別内訳、科目別内訳、中科目別内訳、細目別内訳書を入札業者から提出させていない。 総合評価の審査に際して、工事価格の4分の3を占める直接工事の価格内訳がわからずしてダンピング失格の判断はできない。例えて言えば一生懸命勉強して100点取った生徒にカンニングだと失格にする、オリンピックの100メートル走で、10秒切ったら検査もせずにドーピングだと決め付けて失格にするようなものだ。本件入札の落札者決定に信用性はない。甚だ不透明である。 国交省は「地方公共団体で実施する場合の注意点」として「地方自治法施行令第167条の10の2において、工事の入札契約に総合評価を行なう場合は、本方式の適用の決定、評価方式の決定、落札者の決定の各段階において「学識経験を有する2人以上の意見を聞かなければならない」とされているので留意することとしている(甲第8号証)。また「豊橋市総合評価競争入札実施要領」の第5条2「落札者決定基準を定めようとするときは、地方自治法施行規則第12条の4に基づき、2人以上の学識経験者に意見を聞かなければならない」と定めている(乙第1号証)。しかし、被告は意見を聞くことはなく、豊橋市職員のみで本方式の適用、評価方式、落札者の決定を行なっている。 被告の当該行為は、地方自治法施行令第167条の10の2に違反している。 被告は、外部の学識経験者の意見を聞くことなく内部の者だけで決定しており、全く透明性に欠ける。 2、答弁書(3)について 被告は「入札参加資格を満たした登録業者であることは、ダンピングや契約不履行の可能性がないことを直接意味するものではない」と主張することは認める。だから調査するのが低入札価格調査制度及び総合評価落札方式のあり方である。 甲第9号証が述べるように、総合評価落札方式は、新しい技術やノウハウといった価格以外の要素を含め総合的に評価する新しい落札方式である。国交省が認めるものであって原告の見解を述べているのではない。 なお、被告が述べる本件入札で工事の施工実績や工事成績などの客観的事項で本件工事入札の全業者を市職員5人の審査員は評価点を算出している。審査員が算出した評価点は以下の通りであった(甲第2号証)。上位3社は愛豊電気(株)、マツイ電業(株)、豊立電設(株)であり、落札した(株)三立は10社中4番目の評価点である。そして評価点と価格から評価値を算出することが総合評価落札方式であるが、審査員は全ての入札業者の評価値を算出せずに(株)三立を落札者に決定した。基準通り評価点と価格から評価値を算出すれば愛豊電気(株)が最も評価値が高くなるので落札業者になる。(株)三立は7位で結果は参加業者だけとなる。 甲第2号証の「加算点計」(評価点)の欄は見にくいので次に述べる。
原告は、前記のとおり低入札価格調査制度が実質的に最低制限価格制度であるとは言っていない。ここは本件とは関係ない議論になっている。 甲第7号証2ページ、3ページに示すとおり最低制限価格の算定方法と失格判断基準の算定方法の違いは、前者は直接工事費に10分の8を乗じ、後者は直接工事費に10分の7.5を乗じる違いしかない。この0.5の違いだけである。この割合を下回った入札業者を調査もせず失格にすることが、最低制限価格制度と同じであると原告は主張している。 総合評価落札方式は「ノウハウといった価格以外の要素を含め総合的に評価する新しい落札方式。」、「工事の施工実績や工事成績などの客観的事項で評価と価格で評価値を算出して、その最も高い業者を落札とする方法」である。 調査もせずに失格とする法的根拠は何か。 C オについて 繰り返すが「疑わしきは罰せず」が司法の根本精神であり、行政もその精神であるべきだ。契約履行の可否も調査せず、ダンピングや契約不履行とみなすやり方は当該精神に反する。また、新しい技術や経営改善でコストダウンが図られているにも拘わらず、調査もせず失格としたならば、工事費を負担する住民納税者は不当な負担を課されることになる。 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」3条の二 「入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。」に反する。 Dカ、キについて 前記1、D及び2、Cで述べるとおりである。 以上から、本件工事において失格判断基準を導入した総合評価落札方式による落札者決定と契約は会計法第29条の6、地方自治法施行令167条の10、地方自治法第2条14項及び地方財政法第4条第1項に違反していることは明らかである。速やかに支出を差し止めるよう求めるものである。また契約の無効確認を求める。 |