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                      平成24年度植田小学校北校舎大規模改造等に伴う電気工事(12社入札:豊橋市ホームページより)

                             総合評価落札で証明された、最低制限価格制度のデタラメ。総合評価とは、価格だけではなく技術、
              ノウハウを評価してその評価値の高い業者が落札になる入札制度です。その一番高い評価値の愛豊電気
              から6番までが失格。評価値も低く価格も高い7番業者が落札している。          

商号又は名称

入札価格(単位:円)

評価値

順位

結果

(株)影山電気商会

24,785,000

4.46641

失格

愛豊電気(株)

24,823,000

4.58445

失格

マツイ電気(株)

25,650,000

4.39766

失格

(有)栄和電工

25,655,000

4.30715

失格

豊立電設(株)

25,696,815

4.44413

失格

平中電気(株)

26,100,000

4.25287

失格

(株)三立

29,200,000

3.85616

落札







そんなバカな!!

                                               

                                  年間約10億円の
ムダ入札制度                                                                                                                           

      

  

 


       

植田小学校電気工事公金支出差止住民訴訟事件

訴   状

名古屋地方裁判所 御中

平成24年12月20日

     原告    寺 本 泰 之      

被告  豊橋市長 佐 原 光 一

請求の趣旨

 

1、 被告は、平成24年8月7日に(株)三立と契約「植田小学校北校舎大規模改造等に伴う電気工事(以下「本件工事」という」」に基づく公金の支出を行なってはならない。

2、 上記契約が無効であることを確認する。

3、 訴訟費用は被告らの負担とする。

  との判決を求める。

 

請求の原因

 

1 当事者について

 

1、原告は、愛知県豊橋市に居住する住民である。
2、被告は、豊橋市長佐原光一(以下、「被告」という)であり、豊橋市の公金の支出、契約の締結又は債務その他の義務の負担などの行為につき権限を有するものである。

第2 住民監査請求前置と本件提訴について
1、豊橋市は、豊橋市立植田小学校北校舎大規模改造事業を計画し、平成24730日に本件工事の入札の開札を行なった。本件工事入札は総合評価落札方式一般競争入札で行われ、10社が参加した。(表1)は本件入札結果(甲第1号証)から入札業者、入札価格、評価値、順位、結果を表にしたものである。(表1)にあるように、29,200,000円で(株)三立が落札した。入札した業者が10社のうち6社が、調査基準価格を下回る入札価格であったことを理由に失格となっている。

表(1)

商号又は名称

入札価格

評価値

順位

結果

(株)影山電気商会

24,785,000

失格

 

 

愛豊電気(株)

24,823,000

失格

 

 

マツイ電業(株)

25,650,000

失格

 

 

(有)栄和電工

25,655,000

失格

 

 

豊立電設(株)

25,696,815

失格

 

 

平中電気(株)

26,100,000

失格

 

 

(株)三立

29,200,000

3.85616

落札

アール電装中部(株)

28,720,000

3.75696

 

(株)シンデンコー

29,632,000

3.69533

 

福田電設(株)

41,248,590

予定価格超過

 

 

(株)竹本電機商会

辞退

 

 

 

中伊野電設工業(株)

不参加

 

 

 

 

 









       


2、原告が、豊橋市に情報公開請求を行なって得た総合評価一般競争入札結果(甲第2号証)と「総合評価落札方式に関する説明書」(甲第3号証)の1ページ目にある、2.総合評価の方法 

(1)評価値の算出方法 評価値=評価点÷入札価格×1,000,000
(2)評価点の配点
   ア 評価点=標準点+加算点
   イ 標準点は、技術的能力を満たしたものに対し、100点が与えられる。
   ウ 加算点は、21点満点とし、
     施行能力等に応じて与えられる

   に基づき評価値を計算したところ表(2)のようになった。

(表2)

商号又は名称

入札価格

評価値

順位

結果

(株)影山電気商会

24,785,000

4.46641

失格

愛豊電気(株)

24,823,000

4.58445

失格

マツイ電業(株)

25,650,000

4.39766

失格

(有)栄和電工

25,655,000

4.30715

失格

豊立電設(株)

25,696,815

4.44413

失格

平中電気(株)

26,100,000

4.25287

失格

(株)三立

29,200,000

3.85616

落札

アール電装中部(株)

28,720,000

3.75696

参加

(株)シンデンコー

29,632,000

3.69533

参加

福田電設(株)

41,248,590

予定価格超過

 

 

(株)竹本電機商会

 

 

 

辞退

中伊野電設工業(株)

 

 

 

不参加

 












       

   3、本件前置監査請求の監査結果(甲第4号証)1ページから2ページにかけて、豊橋市監査委員は、監査請求人(本件原告)が算出した評価値について

 「本件入札においてそもそも存在しない失格者の評価値であり請求人が計算して求めたうえで順位を付け、さらにそれらを入札価格と照らし合わせて算出したものであるから、当該金額の支出が法第242条第1項に定める財務会計上の行為の違法性及び不当性を客観的に摘示しているとは認められない」と述べている。しかし、この同監査委員の判断は失当している。同監査委員は、自らの職責を果たさず、算出方法を調べることもなく判断した。
4、原告が記入した失格業者6社の評価値は、本来ならば、総合評価一般競争入札結果(甲第2号証)に部局職員が評価値を算出して記入すべきものである。

5、そもそも入札業者10社のうち6社が失格となるような失格判断基準は適正な基準ではない。これを調査することもなく、本件前置監査請求を棄却した同監査委員の判断には全く承服できない。

6、豊橋市の総合評価落札方式入札の問題点はその不透明さにある。各入札業者が評価点を何点獲得したか、という結果は、入札価格と同じく公表されるが、評価値は公表されず住民の知るところにない。この事実がある限り官製談合の疑念は払拭できない。この不透明性が問題になっているときに「そもそも存在しない評価値」という前に、評価値の計算式は公表されているので、同監査委員は、評価値を算出して監査請求人(本件原告)の訴えを監査すべきであった。

7、以上より原告は前記監査結果には全く納得できないので、本件提訴する。

第3、本件工事入札の違法性について
1、豊橋市は、本件工事の入札に関して、入札業者10社のうち、評価値が最も高く、最も入札価格の低い業者の愛豊電気(株)を失格とした。そして、評価値が高いほうから7番目で、入札価格が低いほうから8番目の(株)三立と契約した。本件工事に入札参加した業者は資格、実績がある豊橋市の登録業者である。また、豊橋市が本件工事入札に際し、求めた「総合評価落札方式一般競争入札参加資格確認申請書」(甲第5号証)を提出し、認められた業者であるから、ダンピングや契約不履行の可能性はないと言える業者である。

2、「総合評価落札方式」は、従来の価格のみによる自動落札方式とは異なり、「価格」と「価格以外の新しい技術やノウハウ」を総合的に評価する落札方式であり、具体的には入札者が示す価格と技術提案の内容を総合的に評価し、落札者を決定する落札方式である。したがって最低制限価格制度のように、最低制限価格を設定し、入札価格が最低制限価格を下回った場合に、その契約が可能かどうかを調査せずに自動的に入札を失格にする方式とは異なる。いわゆる最低制限価格制度と総合評価方式とは共存できない。そのため豊橋市の「最低制限価格実施要領」(甲第6号証)もその第2条で最低制限価格制度の対象とする建設工事は総合評価落札方式による入札を除く、と定めている。つまり価格のみで落札や失格を決めるわけではない、ということである。

3、豊橋市の「総合評価落札方式」は「低入札価格調査制度」を設けている。更に失格判断基準なるものを設け、調査基準価格を下回った価格で入札した者を失格判断基準の対象としている。(甲第7号証)つまり「失格」としている。この制度は実質的には「最低制限価格制度」であり、「最低制限価格実施要領」(甲第6号証)第2条に違反している。

4、「建設工事、設計・測量・建設コンサルタント等委託業務に係る豊橋市の入札制度改正点について(お知らせ)」(甲第7号証)には、その2ページに最低制限価格の算定方式の表、3ページに失格判断基準の算定方式の表が載せられている。両者の違いは算出根拠の4項目のうちの一つである、直接工事費が、前者は予定価格の10分の8、後者は10分の7,5で積算される違いのみである。この差はわずか直接工事費の0.05だけである。これは正しく「最低制限価格制度」である。

5、本件工事入札では、総合評価落札方式を用いながら評価値の一番高い業者である愛豊電気(株)を調査することもなく失格とするばかりでなく、総合評価で評価値が9社中7位の業者である(株)三立を落札業者とした。本件工事入札は「総合評価落札方式」の目的を逸脱し「最低制限価格実施要領」第2条に違反した入札と言える。

6、本件工事入札は、本来なら総合評価により評価値の一番高い愛豊電気(株)が落札されるべき契約であり、落札額は24,823,000円となる。しかし豊橋市は、落札した業者の評価値は愛豊電気(株)より低く、入札金額も愛豊電気(株)より4,377,000円も高い29,200,000円の(株)三立を落札業者とし、本件工事の契約をした。

7、愛豊電気(株)は総合評価値が一番高い業者であるから、当然契約内容を履行できる業者であるのに、愛豊電気(株)を契約履行の可否も調査せずに失格としている。失格とする合理的理由もなく、著しく不適正な契約がされている。この事実は、以下の「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」第3条1号及び2号に違反する。 
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 
第3条 公共工事の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。 一 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。
  二 入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。

8、、以上より本件工事入札は、地方自治法第2条14項に定める「最少の経費で最大の効果」及び地方財政法第4条第1項に定める「その目的を達成するための必要且つ最少の限度」に反し、違法な公金の支出に該当する。
9、本件工事のような入札が有効であるとするならば、総合評価のもとで、新しいノウハウを開発し、良い仕事を安い価格で行なおうとする企業努力が報われない。また、公正な競争入札が損なわれることになる。一方住民は無駄な税金の支出により不利益を被り続けることになる。


第4 本件工事への支出が行なわれる相当の確実性

 本件工事への支出は、既に契約が締結され、支払負担行為が決済されていること、さらに、同契約に基づく工事前払い金が既に支出されていることから、相当の確実性をもって予測される。

第5 監査請求前置について

 原告は、平成24年10月5日に豊橋市監査委員に対し、地方自治法242条1項に基づき、本件工事に関する公金支出の差し止めを勧告することを求める住民監査請求を行なったが、同監査委員は、平成24年11月29日付けでこれを棄却した。

第6 結論
 上記の通りであるから、原告は、被告に対し、地方自治法第242条の2第1項第1号に基づき本件工事への支出差止を求め、また同項第2号に基づき本件工事の無効を求めるものである。

  トップページへ            平成25年4月1日提出  準備書面(1)
             

事件番号 平成24年(行ウ)第144号 公金支出差止請求住民訴訟事件

原告 寺本泰之

被告 豊橋市長 佐原光一

準備書面(1)

平成25年4月1日

                                            原告  寺本 泰之

                                        

第1、答弁書への反論

1、本案前の答弁に対する反論 請求の趣旨第2項について

原告は、本件で「植田小学校北校舎の電気工事に関する契約」を通して総合評価落札方式にある「失格判断基準」を設け当該金額を下回った入札業者を、契約の履行の可否を調査することなくダンピングだと決め付け、一律失格とする制度の無効を訴えるものである。国はこれまでにいくつもの通達で、地方自治体に総合評価落札方式導入を拡大するよう強く勧めている。同時に総合評価落札方式にはダンピング防止対策及び当該工事の不履行のおそれを回避する目的で「失格判断基準」の設置を勧めている。豊橋市も、国の要請で総合評価落札方式の導入と前記目的で「失格判断基準」を導入した。原告が問題とするのは、失格判断基準の価格以下で入札した業者をダンピングや契約不履行業者として一律排除することを認めていることだ。
 国の通達では「失格判断基準」の導入を認めているが「一律に排除せよ」とは述べていない。「公共工事発注にあたっての総合評価落札方式活用ガイド」(国土交通省国土技術政策総合研究所総合技術政策研究センター建設マネジメント技術研究室作成)(甲第8号証)の「はじめに」では「良質な工事を低廉な価格でタイムリーに調達する。そのことによって公共工事のハードとソフト面の総合的なレベルアップをはかる―これが総合評価落札方式がめざすものです」とある。
 また、平成23年8月9日閣議決定「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(乙第6号証)」第2、2の(1)のAには「総合評価落札方式は、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)に基づき、価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定するものであり、価格と品質が総合的に優れた公共調達を行うことができる落札者決定方式である。公共工事を受注する建設業者の技術開発を促進し、併せて公正な競争の確保を図るため、民間の技術力の活用により、品質の確保、コスト縮減等を図る可能な場合もある」としている。

国土交通省国土技術政策総合研究所の「総合評価落札方式 技術とノウハウを活かした公共工事をめざして(甲第9号証)」によれば
 「工事内容や周辺環境に応じた技術の評価により、工事の品質アップや工期の短縮、ランニングコストを含むトータルなコストの削減、自然環境や住環境の保護など社会的な要請への対応を実現します」とある。また、評価された得点と価格を比較した評価値から最も高い企業が落札者となる、と説明されている。
 政府と国交省の総合評価落札方式の認識は以上のとおりである。この方式を順守するならば、本件入札においては愛豊電気(株)が落札者にあたる。
 以上から言えることは技術開発や経営改善によりコストの削減、人件費の削減は十分に考えられる。したがって従前通りの予定価格から一定割合額を失格判断基準として一律に失格することは、全く総合評価落札方式の趣旨を逸脱した処分である。ましてや失格判断基準以下の価格は手抜き工事やダンピングと断定されて、契約履行の可否も調査されず一律失格とされる入札制度は、業者への名誉毀損にあたり個人の尊厳を著しく傷つける行為である。また技術開発や経営改善の意欲を損なわせる制度である。

業者の企業努力を評価せず、安易な失格判断基準を設定して入札業者を失格にする制度は、業界の競争による向上心を失わせ日本に多大な損失を与える。また不当に高い税金を投入することにもなり国民の負担を不当に重くする制度である。本件は単なる豊橋市の学校工事の契約に留まらない。貿易立国として安価で高品質のものづくりを目指す日本の国力、国益を損なう「百害あって一利なし」の制度である。即刻この制度のもとで契約された本件契約の無効を求める。

公共工事は「会計法」または「地方自治法」に基づいて調達される。これが大前提にある。第6回入札契約の適正化に関する検討委員会で配布された資料6(甲第10号証)のなかにある低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の概要(資料6の3ページ目)には
 「競争入札を行った場合、予定価格の範囲内で最低の価格で入札をした者と契約することが、会計法及び地方自治法の原則となっているが(最低価格自動落札)、例外として、低入札価格制度及び最低制限価格(地方公共団体のみ)により、契約の適切な履行がなされない懸念がある場合には、これを契約から排除することとされている。地方自治法第234条(契約の締結)及び会計法第29条の6(契約の相手方)のいずれも予定価格の制限の範囲内の最低価格者と契約と定めながら、但し契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると認められる場合の次順位者との契約」と但し書きがある。これは契約に適合した履行がなされないおそれがあると認められる場合においては、そのおそれがあるかどうかについて調査を行なうものである、と解するべきである。これが低入札価格制度である。「予算決算及び会計令第86条の調査について、乙2号証の3、に低入札価格調査においては入札者からの事情聴取、関係機関への照会等15項目の調査を行なうことと定めている。公正な競争によって受注者が決まる、一般競争入札が公契約の原則である。ところが豊橋市が行う総合評価落札方式は「失格判断基準」を設けて、その金額を下回る入札業者に関しては、調査することなく一律に失格していることから最低制限価格制度と同じである。

 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」第3条 公共工事の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。

 一 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。

 二 入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。

 と定められている。豊橋市が行う総合評価落札方式にある「失格判断基準」の制度は、業者から入札価格の詳細がわかる工事内訳の種目、科目、細目別の内訳書も提出させず(甲第11号証−1、同―2)、契約履行の可否調査もせずに失格とすることから内容の透明性の確保、公正な競争の促進を著しく阻害する。 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の趣旨から逸脱しており、そもそも公契約には無効な制度である。

 以上より会計法第29条の6、地方自治法施行令167条の10、地方財政法第4条第1項、地方自治法第214項に違反した契約だとして、地方自治法第242条の2第1項第1号に基づき本件工事への支出差止を求め、また同項第2号に基づき本件工事の無効を求めるものである。

 

第2 本案の答弁に対する反論

  原告は、本件前置の監査請求(甲第12号証)において「豊橋市の行なっている総合評価落札方式は低入札価格調査制度」のもとに行なわれている(甲第1号証、甲第2号証)のに、落札業者の評価値より高い評価値を得た6社を、契約履行の可否を調査せず一律に失格していることを違法だ。」と主張した。

「低入札価格調査制度を違法だ」と主張したのではない。「低入札価格調査制度を順守していないことが、地方自治法第2条14項に定める「最少の経費で最大の効果」及び地方財政法第4条第1項に定める「その目的を達成するための必要且つ最少の限度」に反すると主張した。
 尚本件訴えに会計法第29条の6と地方自治法第234条及び地方自治法施行令第167条の10違反している、と主張するものである。
 この点を明確にする。
 原告は、本件前置の監査請求に対する監査委員の会議録等審査内容を豊橋市情報公開条例に則り開示請求(甲第13号証)を行なった。当該開示請求により取得した公文書のなかに本件監査請求の「要点整理」(甲第14号証)なるものがあった。それによれば、原告の違法性の主張を「豊橋市が「総合評価落札方式」に「低入札価格調査制度」を設けていることは、実質的に「最低制限価格」であり、「最低制限価格実施要綱」第2条に違反している」と捉えている。
 前記のように原告は、「総合評価落札方式」に「低入札価格調査制度」を設けていることを「最低制限価格実施要綱」第2条に違反している、と主張したのではない。この「要点整理」の内容は誤っている。 
 したがって本件前置監査請求において監査委員は誤った請求内容を監査した、と言える。

 

1、答弁書第2、(2)について

@ アについて

豊橋市契約検査課ホームページの入札結果には開札は平成24年7月30日になっている。原告には、いずれが正しいかは判断できない。 また、正しくは被告の指摘されるとおり株式会社影山電「機」商会です。これについては原告の誤りなので訂正します。
 被告は「本件契約で業者を失格としたのは調査基準価格を下回ったことにより低入札価格調査制度の対象となり、同制度の失格基準を下回ったため失格とした」と答弁書で述べている。しかし、低入札価格調査制度の対象となったのであれば、乙第2号証で示されるとおり、当該工事が履行できるかどうかの調査を行なわなければならない。ところが被告は本件工事入札においては、調査もせず失格判断基準を下回った金額で入札した業者を一律に失格としている。甲第7号証3ぺーじの(4)のAの失格判断基準の失格処分は、実質的には「最低制限価格制度」であり、「最低制限価格実施要領」第2条に違反している。また会計法第29条の6、地方自治法第234条及び地方自治法施行令第167条の10に違反している。

 A イについて

  失格判断基準を下回る価格で入札した業者を一律失格として、評価値も算出する必要もない、とする処分は明らかに「低入札価格調査制度」及び総合評価落札方式の趣旨を逸脱したものであり、会計法第29条の6、地方自治法第234条及び地方自治法施行令第167条の10に違反している。

B ウについて

  前記の通りそもそも監査委員は、監査請求人の請求内容を誤って捉えている。また豊橋市が定める「豊橋市監査基準」(甲第15号証)第2条、第5条(1)(2)、第9条、第10条、第21条、第23条を順守しない監査であった。監査委員の判断は根本的に失当している。

  C エ、オについて

  総合評価落札方式は評価得点と価格から評価値を出すのを原則とする。したがって評価値は算出しなければならない。そのうえで低入札価格調査制度を基本とする総合評価落札方式であるならば、低入札した業者は、契約の履行ができるか否かを調査したうえで落札者を決めるべきである。

 ところが被告は、調査せず一律失格にする最低制限価格制度と同じように、失格判断基準を下回る金額で入札した業者を調査もせず一律失格とした。その失格判断基準は、最低制限価格制度の直接工事価格に乗ずる10分の8の部分を10分の7.5に下げた価格に設定しただけにすぎない。本件工事入札において被告は評価値の上位6社を失格判断基準以下として失格とした。しかし予定価格は担当職員が単価表を積み上げただけの価格である。原告の調査によれば被告は、予定価格の積算にあたり「建築営繕積算単価表」(甲第16号証―1)「公共建築工事積算基準」(甲第16号証―2)「建築物価」(甲第16号証―3)の3冊をもとに価格を積算したものであった。「予定価格の設定にあたっては、資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ、適正な積算の徹底に努める」(乙第6号証の第221)、E「その他」に記載)とある。本件入札においては、失格となった6社の入札価格が拮抗しており、この6社の入札価格を実勢価格と捉えるのが相当である。

D カについて

   豊橋市の総合評価落札方式の入札は次の理由で不透明である。

   本件工事入札にあたり工事内訳だけでなく、工事価格の4分の3以上を占める直接工事費の価格の入った種目別内訳、科目別内訳、中科目別内訳、細目別内訳書を提出させて価格調査をしなければダンピング価格かどうかの判断はできない。

ところが被告は本件入札において種目別内訳、科目別内訳、中科目別内訳、細目別内訳書を入札業者から提出させていない。

   総合評価の審査に際して、工事価格の4分の3を占める直接工事の価格内訳がわからずしてダンピング失格の判断はできない。例えて言えば一生懸命勉強して100点取った生徒にカンニングだと失格にする、オリンピックの100メートル走で、10秒切ったら検査もせずにドーピングだと決め付けて失格にするようなものだ。本件入札の落札者決定に信用性はない。甚だ不透明である。

   国交省は「地方公共団体で実施する場合の注意点」として「地方自治法施行令第167条の102において、工事の入札契約に総合評価を行なう場合は、本方式の適用の決定、評価方式の決定、落札者の決定の各段階において「学識経験を有する2人以上の意見を聞かなければならない」とされているので留意することとしている(甲第8号証)。また「豊橋市総合評価競争入札実施要領」の第5条2「落札者決定基準を定めようとするときは、地方自治法施行規則第12条の4に基づき、2人以上の学識経験者に意見を聞かなければならない」と定めている(乙第1号証)。しかし、被告は意見を聞くことはなく、豊橋市職員のみで本方式の適用、評価方式、落札者の決定を行なっている。

被告の当該行為は、地方自治法施行令第167条の10の2に違反している。

   被告は、外部の学識経験者の意見を聞くことなく内部の者だけで決定しており、全く透明性に欠ける。

2、答弁書(3)について

  @ アについて

被告は「入札参加資格を満たした登録業者であることは、ダンピングや契約不履行の可能性がないことを直接意味するものではない」と主張することは認める。だから調査するのが低入札価格調査制度及び総合評価落札方式のあり方である。
 本件工事入札が総合評価落札方式に基づき行われたのであるから、総合評価算出基準に従い評価点と価格から評価値を算出して落札者を決定すべきである。失格判断基準の価格だけを基に失格とするのは最低制限価格制度と同じである。
 資格、実績のある豊橋市工事入札登録業者であり、総合評価落札方式において評価値が高い1位から6位までの業者を、ダンピングや契約不履行の業者と決めることは人権侵害である。

 A イについて

甲第9号証が述べるように、総合評価落札方式は、新しい技術やノウハウといった価格以外の要素を含め総合的に評価する新しい落札方式である。国交省が認めるものであって原告の見解を述べているのではない。

    なお、被告が述べる本件入札で工事の施工実績や工事成績などの客観的事項で本件工事入札の全業者を市職員5人の審査員は評価点を算出している。審査員が算出した評価点は以下の通りであった(甲第2号証)。上位3社は愛豊電気(株)、マツイ電業(株)、豊立電設(株)であり、落札した(株)三立は10社中4番目の評価点である。そして評価点と価格から評価値を算出することが総合評価落札方式であるが、審査員は全ての入札業者の評価値を算出せずに(株)三立を落札者に決定した。基準通り評価点と価格から評価値を算出すれば愛豊電気(株)が最も評価値が高くなるので落札業者になる。(株)三立は7位で結果は参加業者だけとなる。

    甲第2号証の「加算点計」(評価点)の欄は見にくいので次に述べる。

    入札社名

加算点計

(株)影山電機商会

10.7

愛豊電気(株)

13.8

マツイ電業(株)

12.8

(有)栄和電工

10.5

豊立電設(株)

14.2

平中電気(株)

11.0

アール電装中部(株)

7.9

(株)三立

12.6

(株)シンデンコー

9.5

福田電設(株)

9.4

 

 

 

 

 

 




B ウ、エについて

  原告は、前記のとおり低入札価格調査制度が実質的に最低制限価格制度であるとは言っていない。ここは本件とは関係ない議論になっている。

 甲第7号証2ページ、3ページに示すとおり最低制限価格の算定方法と失格判断基準の算定方法の違いは、前者は直接工事費に10分の8を乗じ、後者は直接工事費に10分の7.5を乗じる違いしかない。この0.5の違いだけである。この割合を下回った入札業者を調査もせず失格にすることが、最低制限価格制度と同じであると原告は主張している。

総合評価落札方式は「ノウハウといった価格以外の要素を含め総合的に評価する新しい落札方式。」、「工事の施工実績や工事成績などの客観的事項で評価と価格で評価値を算出して、その最も高い業者を落札とする方法」である。

調査もせずに失格とする法的根拠は何か。

 

C オについて

  繰り返すが「疑わしきは罰せず」が司法の根本精神であり、行政もその精神であるべきだ。契約履行の可否も調査せず、ダンピングや契約不履行とみなすやり方は当該精神に反する。また、新しい技術や経営改善でコストダウンが図られているにも拘わらず、調査もせず失格としたならば、工事費を負担する住民納税者は不当な負担を課されることになる。

「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」3条の二 

「入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。」に反する。

 Dカ、キについて

   前記1、D及び2、Cで述べるとおりである。

 

以上から、本件工事において失格判断基準を導入した総合評価落札方式による落札者決定と契約は会計法第29条の6、地方自治法施行令167条の10、地方自治法第2条14項及び地方財政法第4条第1項に違反していることは明らかである。速やかに支出を差し止めるよう求めるものである。また契約の無効確認を求める。


 証拠方法(省略)